2011年11月26日

ウトロ地域のヒグマ対策

昨夜から降っていた雪が、今朝は積もりました。朝6時に、除雪車の音で目が覚めて驚きました。外を見ると、お向かいのご主人が雪かきをしていました。 いよいよ、根雪の季節でしょうか。

降った雪を見ていて、まだ冬眠せずにウロウロしているヒグマが居たなら、足跡がくっきりついて、ヒグマ対策対応の人たちは少しは楽かも知れないと思いました。
野生のヒグマの動きを見定めるのは大変な作業です。まして、明るい時間ならばまだしも、暗いときには本当に大変です。逃げる、隠れる、移動する訳ですから、夜間の見極めは無理でしょう。

昨日、ウトロ地域にチラシが入りました。
10月から頻繁に市街地周辺に出没していたヒグマの対応状況を知らせるチラシです。この、チラシが折り込みで入ってから、数件の電話と、数件のメールをいただきました。「駆除されたとかされないとか、噂ばかりで本当のことが分からなかったので良かった」とか「市街地に頻繁って、そんなこと知らなかった」とか、「どうして駆除をしたのか」とか、「これだけ出没していたことを知らせなかったのはどうしてか」などの内容です。状況を知らせる対応に、評価はありましたが、同時に「もっと、事前にその都度、知らせるべきではないか」という声がほとんどです。

改めて、ヒグマの出没状況と危険性、対応について「知らせる」ことの難しさを考えてみます。

ウトロ地域は5年前にエゾシカ侵入防止柵を設置してから、エゾシカばかりでなくヒグマの侵入も減りました。それまでは、頻繁に市街地を通過したり、ウロウロしていたヒグマが減りました。しかし、今年の夏にウトロの漁港を泳いでやってきたヒグマをはじめ、今回、駆除されたヒグマのようにわざわざ市街地にやって来るヒグマが現れました。

こうしたヒグマの出没に対して、斜里町はその対応を知床財団に委託しています。知床財団は、このヒグマ対応をウトロ地域ばかりでなく、知床国立公園地域を羅臼までの広いエリアで対応しています。知床にヒグマは居ても当たり前ですが、そのヒグマが人との遭遇で事故を起こさないように対応するのが「対策、対応」の目的です。

今回のヒグマ対応については、先に書きましたように様々な意見や考え、要望を聞きました。

確かに、地域に発信された情報は少なかったと思います。
しかし、同時に、どのようにリアルタイムでその情報を発信することができるでしょう?
例えば、朝6時に姿を通学路で目撃されたとします。通報を受けて対応員が現地に着いたときには、移動しているでしょう。7時過ぎにはこどもたちの通学が始まりますが、その時点でヒグマはどこへ行ったのか?もしかしたら、柵の外に出たかも知れない、藪の中に入ったかも知れない、さらに違う通学路まで移動したかも知れない。その判断を現地で行う、そして通学路に対応員が張り付く・・
こうした対応を実際に行っているのですが、では、どの時点で、どのような広報を行うことが良いのでしょう?
広報車を出して、パトカーが走ってと言う対応を以前、行ったことがありますが、観光への影響も指摘され、まして移動する中で、どこが危険という広報は、ともすれば、大きなリスクを生じることになりました。
ヒグマの姿が見えていれば、対応も可能ですが、多くは「見えない、どこへ行った?」の状況です。
「ヒグマが出没しました」
「ヒグマは柵の外へ出ました」が理想的ですが、柵の外へと言う確認ができない状況では、なかなかその後の広報は難しいでしょう。
もしも、この時に「ヒグマが出没しています。気をつけてください」と広報や連絡網が入ったとして・・きっと、「どのへん?車で子どもを送った方が良いの?ここは、大丈夫?」という声が出るでしょう。でも、それらに応えるのは難しいでしょう。情報を受けた人は、一部で小さな混乱が生じるかも知れません。

さらに、広報をして、それを聴いた「ヒグマを見たい人、見てみたいと思った人」あるいは「カメラマン」は逆にその辺をウロウロするかも知れません。その対応はどうすればいいでしょう。

必要な情報は発信すべき。
問題は、その発信の方法、手段です。
これから、こうした情報発信の手段についても様々な立場からの検討が必要になります。どうすることが、この地域にとってベストなのか。それを、皆で探っていかなければなりません。

一つだけ言えることは、何をやっているのかヒグマ対応の方法を知ること、現状でどのように動いているのか知ること、地域に住む人たちの不安も知ること、地域でできることはなんなのかも考える事。いづれにしても、効果的な情報の発信を求めるには充分なコンセンサスが必要だと思います。

  ヒグマチラシ001.jpg
  11月25日のチラシ表 
  

  ヒグマチラシ002.jpg
  11月25日のチラシ裏
posted by あとむ at 13:54| Comment(3) | TrackBack(0) | まちづくり
この記事へのコメント
財団も忙しいでしょうが、学校へは
「ヒグマが付近にいる可能性がありますので、
登下校は車での送迎をお願いします」
のFAX1枚で良いと思います(笑)
本文にあるような微妙なタイミングもあるでしょうが、
それでも、学校には連絡しないと・・・と思います。
騒ぎになろうが何だろうが、親は何とかしようと思いますからね。

それよりも、
学校で問題にしたケースは10月27日の件。
「漁師が未明に見かけた」という話を学校が聞いたのが昼過ぎ。
見失ったのか、安全だったから伝えなかったのか、
財団に情報が入ったのも遅かったのか?
いずれにしても曖昧な中、子供たちは登下校をしていました。
「一応、未明に発見されたのでお知らせします。」
はあっても良かったと思うケースだったと思います。

もちろん、いろいろな目撃情報は
そもそも財団も知らないかもしれません。
そういうことで、
学校やPTAとしては不審者情報などと同じで、
見かけたら警察や財団への通報と併せて、
学校にも直接一報を・・・と折に触れて伝えてはいます。
でも、これって元も子もない感じがしますよね(笑)

クマを「管理をする」と言っているんだから、
しっかりしてくれというのが住民の意見なのだと思います。
無理なら不審者対策と同じように自分たちでやるしかない。
でも、
現状では学校も警察も財団を頼りにしているのも事実ですし、
そういうふうにスキームを組んできたのも財団。
みんな、頼りにしてるんですよ。
その割には
はっきりしたスタンスと覚悟が伝わってこない・・・。
そんなところではないでしょうか・・・。

ちなみに
ヒグマにあった時の対処法として
学校で「出張ヒグマレクチャー」も行なっていると言いそうですが、
追い払い中の興奮したヒグマの対処法にはなりません。
これは、ガイドとしての知見ですが・・・。
Posted by 藤崎です at 2011年11月26日 15:06
藤崎さま コメントをありがとうございます。

まず、担当の財団職員の方に、今回のチラシについて話を聞きましたが、その中で「ウトロ支所、学校へはもちろん情報は伝えている」と、きっぱりと言っていたので、私ももちろん連絡が入っているのだろうと思っていました。
確かに、ウトロ支所でもヒグマ関係の動きについては支所エリアの中で、その情報がしっかりと入っているようにも感じられない部分が私も多々感じました。
まず、そのへんの連携について確認することが必要ですね。

また、財団の対応に関してもこれまで、ここまでウトロ地域への連続した出没が少なかった事も、今回の連絡体制や対応がスムーズに連携がとれていなかった・・と言う感じがあると思います。
一度、学校ばかりでなく、地域として(保育所や地域のゴミ対策、あるいは気をつけることなど含めて)情報をしっかりと確認することが必要だと思うのです。

それを、このヒグマ対応を財団に委託している斜里町が窓口になって、その場を作ることが必要ですね。
Posted by さくらい at 2011年11月26日 16:58
いいね!ボタンが欲しいですね。仰るとおりだと思います。
情報伝達のしかたの整理が必要だと思います。

恐らく「連絡していない」という認識はないのでしょうね〜
ちゃんと「連絡して」くれているのだと思います。
しかし、それがちょっとピント外れだったり、タイミングがずれているのでしょう。
仰るとおり簡単なようで結構、力を入れてフローを作らないといけないと思います。
それがないんだなあ・・・というのは意外でした。
財団にも、役場にも、そして学校にも。
Posted by 藤崎です at 2011年11月26日 20:42
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